人工細胞と人工生命と生命の起源
人工細胞というものが作られつつある。
まあそれが出来たからといって、今すぐ人工生命は作れはしないけど。
どっちかっていうと細胞の研究に用いられるものだし。
人工生命はCraig
Benterがいろいろ言ってるけど、ちょっと勘弁して欲しい気もする。
生命の原型とはどんなものだったのだろう?
…いや確かにそこのところに興味はないわけじゃないんだけど。
1924年、オパーリンが生命の起源についての仮説を発表し、さらに1936年に
脂質の膜で出来たコアセルベートという物体が生命の原点じゃないか
という『生命の起源』の発表を行う。
実際にコアセルベートを作ってみると、そいつが細胞のように周囲の物質を取り込む
性質や内部で化学反応を起こす性質を持つ、ということもわかった。
そういう意味では、コアセルベート自体が細胞の土台といっていいのでは
ないかと考えていいと思う。
その隔壁に守られた中で反応が始まり、それが生命にとなっていった。
ところで、話は変わるが究極の生命体の原点とはなんだろうか？
…正直なところ誰にもわからないし誰も知らない。
だが、その一つの仮説としてRNAワールドという言葉がある。
実際の生物の原点ってのもそのような脂質の膜の中で始まったと思われるが、
その膜の中で反応の中心となったのはRNAだったと考えられている。
全ての生命はRNAを元にして誕生したという考え方だ。
RNAが化学反応を行うことによって生命が誕生したというのだ。
そのような化学反応を行うRNAリボザイムは、たんぱく質でできた
酵素のような性質を持っていたといっていいだろう。
究極的には、何らかの形で存在したと思われる、
RNAを複製するRNA
があったのではないかということだ。別にランダムでもなんでもいい。
とにかく複製、これが重要なポイント。
ランダムに複製するとしても、例えば100の核酸塩基からなる物質がある
としたら4の100乗の確率で自己複製が可能になる。
なんせ時間は腐るほどあったからランダムでもいいのだ。
その中で偶然に新たなRNAリボザイムが出来る可能性がある。
自己複製こそ生物の本質なわけで、ということはとにかく複製を行う、そこが
一番重要である、とまあ私は考える。
実際複製しなければ何も始まらないわけだから。
そういう意味ではRNAの自己複製さえ確認できれば、RNAワールド自体実証は
可能ではなかろうか。
RNA複製RNAが存在するかどうかって言うのは興味あるわけで。
ランダムでもなんでもいい。とにかく複製だ、そこが大事。
それはさておき、生命の構成要素を3つ挙げるとすれば
１．維持
２．複製
３．進化
とこんなところではないか。
RNA分子が自己複製を行っていく中で、自己維持に必要な分子をも作り出し、
より効率のいい方法を編み出すように進化していく。
実際にはこのようなことが起こったのではないだろうか。
更なる効率を求めたんぱく質で出来た酵素を生命体の中に導入。
RNAリボザイムに似た構造をたんぱく質が真似をするようなふるまいが
あったと考えられている。これを分子擬態といったりするが、
どこでRNAとたんぱく質が結びついたかはまだなんともいえない。
話を若干変えてみると、生命の最小セットって言うのはどのあたりなんだろうか。
極端な話、最小セット以下でも生存は不可能ではない。
寄生や共生を行えばいいわけだから…と考えたら最小セットってなんだろ。
人工細胞とか何とか言ってるけど、この辺りのことを考えずに暴走するってのは
一種の妄想じゃないのか?なんて思ったりもしたり。
RNA複製RNAリボザイムが最初に1つだけ存在したとして、それが究極の最小セット
だろうか？ここまでくると最小セットどころか生命かどうかも怪しいけどな。
そいつが何年、いや何億年かかけて最初の生命になった、多分そうだろう。
しかも一番最初のRNA複製RNAはどこかで分解してしまった。
それはそれはもうずいぶん昔の話だろう。
なのだが、そいつの後継は地球中に広がっている。
複製、ということで結果的に不死を得たということなのだろうか?
そのRNA複製分子にしても、細胞膜がなかったら、十分にRNAを
自己複製する前に分解してしまったかもしれない。
細胞膜はいうなれば生命の母だな。
…というようなことを考えてはみたが、よく考えたら、これが必ずしも
地球で起こったかどうかは定かではない。
大体今地球近傍の宇宙空間には、地球由来の生命がわんさといる。
数十億年後、どこかの星で地球由来の生命が増えるということがあるのなら、
逆に、地球の生命のふるさとも地球とは限らないかもしれない。
そのふるさとは下手したら宇宙にもはや存在しないかもしれない…。